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離婚調停と離婚訴訟

 離婚をするためには、それ相応の手続が必要です。

 

 協議離婚であれば、よく知られていることだと思いますが、離婚届に当事者それぞれが所定の欄に記入や署名をして、これを役所に届けることで成立します。

 

 ここでは、それ以外の、離婚調停や離婚訴訟についてご説明したいと思います。

 

  要するに、相手方が離婚に応じない場合の手続は何か、ということです。

 

 どんなに離婚できる正当な理由があっても、以下のように、離婚調停⇒離婚訴訟という手続を踏まないと、離婚はできませんので、離婚のために必要な手続とはどのようなものなのかを知っている必要があります。

 

 また、離婚を避けたい、とお考えの方にとっても、どのような手続で離婚が進んでしまうのかを知っていることは、対応を考えるうえで重要です。

 

離婚調停

 

◆調停を行う意味

 

 最初に、調停を行う意味を端的に書きますと、

 

@第三者を挟んでの話し合いの機会を設けてみるため
A離婚訴訟を提起するために必ず必要だから

 

ということになります。以下、詳細を見ていきましょう。

 

 日本では、離婚は夫婦が合意すれば、あとは役所に離婚届をきちんと提出さえすれば成立します(外国ではかなり珍しい制度です)。

 

 しかし、それ以外、すなわち、どちらかが離婚を希望していても、もう一方が希望していない場合には、裁判等を通じて離婚が認められなければ離婚することはできません。

 

 では、相手が離婚に同意してくれない場合に、いきなり裁判を起こすことはできるでしょうか。

 

 ご存知の方も多いと思いますが、それは認められていません。

 

 裁判を起こす場合には、まず、調停という話し合いの場を設けて話し合う、というワンクッションが必要になります。これは、「夫婦のことは、裁判の前にもう一度話し合ってみたほうがいいですよ」という意味で設けられた制度のようですが、法律上は強制ですので、離婚訴訟を考えているのであれば、必ず調停をしなくてはなりません(家事事件手続法257条1項)。

 

 調停は、家庭裁判所に呼び出されて行いますので、何となく裁判の一種、という印象を持たれる方が多いかもしれませんが、調停は裁判ではなく話し合いの一種です。

 

 大切なことなので繰り返しますが、調停は完全に話し合いの場です。完全な合意ベースですので、裁判所がなにかを命じたり、どちらの言い分が正しいなどと判断することもありませんし、むしろ、できません。

 

 ただ、違うのは、家庭裁判所の一室(調停室などと呼ばれています)で、調停委員という男女一組の有識者(あくまで「有識者」であって、法律の専門家ではない市民の方です)がいわば「聴き役」「調整役」になって、話し合いを助けます。

 

 「じゃあ、ただの話し合いなら、何も意味がないじゃないか」とお感じの方もいるかもしれません。

 

 しかし、やはり、直接当事者同士で話う(少なからず喧嘩になるのでしょう)のと、裁判所という公の場所で間に第三者が入って話し合うのとでは、かなり話し合いの進み方は違うのも事実で、当事者同士で話し合っていても全くらちがあかない場合であっても、調停になると最終的には話し合いで決着がつくケースはかなりの数に上りますので、事実上の効果は十分にあるといっていいでしょう。

 

 ただし、元々意見の対立が大きいとなかなか成立に至らないこともあります。

 

 また、残念ながら調停委員の方の技能・個性にはばらつきもありますので(どなたも一生懸命やっていらっしゃるのだと思いますが)、結果的に今一つちゃんと自分の言い分を聞いてもらえていないとか、相手方に伝えてもらえていないのではないか、と感じる方も一定の割合でいらっしゃるのも事実です。
 そのような場合には、ご面倒でも、弁護士のサポートを受けたり、早期に調停を打ち切って訴訟に移る準備をする、などの工夫も必要となってきます。

 

◆調停の様子

 

 調停は、まず、いつ調停を行うか日取り(期日)を決めるところから始まります。

 

 これは、調停を申し立てた側と裁判所の都合でまず候補日が決まり、これをもとに相手方に裁判所の職員(書記官・事務官)が連絡をとって最初の期日を決めます(なかなか決まらないと、職員から直接電話で連絡がくることもあります)。

 

 裁判ではありませんので、相手方は期日に必ず行かなくてはいけない、ということはなく、出席しなくとも特に法律上の不利益はありません。
 欠席が続くようであれば、調停は不成立ということで終了となり、あとは裁判(離婚訴訟)に移るかどうかを申し立てた側の人が決める、ということになります。

 

 とりあえず、期日が決まって両者が出席すると、話し合いが始まります。

 

 話し合いの方法ですが、当事者双方が同じ部屋に入って、机を挟んで話し合う、ということはしません。

 

 基本的に、どちらか一方の話を聞き、その人が退出した後、もう一方が入室して相手方の言い分を調停委員から聞き、自分の言い分を伝えます。そしてまた退出し、相手方が入室して話をします。
 これを繰り返します。要するに交代で話をするわけです。

 

 ちなみに、控室も別になっていて顔を合わせないように建物がつくられています(ただし、同じ建物ですので、事故でばったり、ということは残念ながらごくたまにあるようです)。

 

 大体、10分〜30分くらい話を聞いて交代する、ということを2、3回繰り返した段階で終了となります。時間にして2時間程度のことが多いと思います。

 

 そこで離婚に合意ができれば(未成年のお子さんがいれば、親権者も最低限決める必要があります)、その段階で初めて裁判官が入室し、調停調書というものを作成し、離婚が成立することになります。

 

 合意ができなければ、そのような調停(話し合い)を月1回程度の頻度で行い、3回程度を目安にこれを続けます。3回話し合って、全く成立のめどがたたなければ、そのまま不調(不成立)ということで調停を終了するという運用が多いようです(例外はあります)。
 調停は、費用もほんどかからず、公の場合でそれぞれの言い分を第三者に聞いてもらえる場ですので、必ずしも弁護士を雇う必要はなく、ご自身の力で調停を活用することは十分にお勧めできます。

 

 ただし、ご自身の言い分が法律的にどういう意味を持つのか自分でもよくわからない、相手方の言ってることにどう反論していいのかわからないといった場合や、上に書きましたように調停委員をどうしても信頼できないといった事情がある場合には、一生を左右する問題ですので、専門家である弁護士のサポートをお受けになることもよいかと思います。

 

 手前みそになりますが、当高幡門前法律事務所でも、離婚調停についてのご相談を承っております。当ホームページをご覧になってご相談いただいた方には、1回目の調停への出席費用(税込み19,440円)を半額とさせていただいておりますので、もしよろしければ、ご検討いただければ幸いです。

 

離婚訴訟

 

 調停が不成立に終わると、初めて、離婚の裁判(離婚訴訟)を提起することができるようになります。

 

 この場合の不成立、というのは、相手方がまったく調停に応じずに終了したような場合も含みます。

 

 離婚訴訟になりますと、通常の訴訟手続とほぼ同じですので、訴えを提起する側が訴状等を用意して家庭裁判所に訴えを提起することになります。

 

 今度は正式な裁判ですので、相手方(被告)は、決まった期日に出廷しないと、法律上も事実上も不利益を受けます。つまり、調停とは異なり、相手方としては放置するという選択はとれなくなります。

 

 離婚訴訟は、裁判所が当事者の言い分を聞くのにかなりの時間を要しますので、半年〜1年は最低でもかかるとお考えいただいた方がよいかと思います。

 

 さらに、不貞などがからみますと、不貞相手が証人尋問に呼ばれるなど、正直に申し上げて精神的には辛い場面も多くなりますので、そのようなことを避けるために、いったん裁判を起こした後、訴訟内で和解を成立させることも非常に多くなります。

 

 最終的に判決までたどり着いた場合には、離婚できる、離婚できない、という結果が判決によって宣言されるということになります。

 

 

 

 

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